背中スイッチ君のはどこにあるんだろう? 高性能センサと単純には行かない寝かしつけ!?

背中スイッチ君のはどこにあるんだろう? 高性能センサと単純には行かない寝かしつけ!?

 背中スイッチ君のはどこにあるんだろう〜?

見つけ〜て〜あげるよ〜

腕の中でぐっすり寝ていたはずの赤ちゃん。その可愛い寝顔を見ていると微笑ましいものです。そろそろベッドに置いてあげようかなと、ベッドに背中が着いたその瞬間!!

「ギャアァァァァァ!」

突然泣き出してしまう。そう、赤ちゃんの背中にはスイッチがあるのだった。あぁ失敗、失敗。次は気をつけてそーっと置こうと思った瞬間、

「ちらっ(薄眼)」

見られている!?なぜ気づいたのだ?心が読まれているのか?いや、そこには何か秘密があるはず!と言うことで、赤ちゃんの背中にあると言われている背中スイッチについて調査をしてみる事にした。そこで発覚した驚異の事実。所詮は生まれて1ヶ月程度の赤ちゃん。スイッチは単純にオンオフだけであろうと高を括っていたが、実際にはとても高性能なものであった。

今回、私の検証により分かったものは次の四つのセンサである。

荷重センサ

頭部、背面、臀部に備わっており、ちゃんと抱っこしてもらっていることを荷重で判断している。この力が抜けた時、ベッドに置かれると判断し、警報を鳴らす(泣き出す)ようになっている。この程度は、事前に想定していたものである。

タッチセンサ

背中スイッチは背中だけについている単純なものではなかった。背中から足まで、背面全体がタッチセンサとなっている。ベッドに背面が触れると瞬時に眼が開いて周辺状況を確認する。軽く触れただけで検知することから、おそらく圧電方式ではない。iPhoneのタッチパネルと同様の静電方式である可能性が高い。

加速度センサ

勝負はベッドに寝かせようと思ったその時から始まっている!娘はベッドに近づくだけで反応して薄眼を開けることがある。原因は私が無意識に娘の体を降ろしてしまっていたのである。娘には加速度センサが備わっており、0.2m/s^2を越える加速度で下降している事を検知すると、ベッドに置かれると判断し、警報を鳴らす。気が早ってはいけない。徹頭徹尾、慎重にである。なお、横から近づけても特に変化はないため、磁気、光学式含めて近接センサが備わっている訳ではなさそうである。

照度センサ

明るくなった時だけではない。暗くなった時だってちゃんと照度の変化を感じ取っている。部屋の明るさが300〜500lx程度のリビングから、30lx程度の寝室へ移動すると、まぶたの裏の照度センサは敏感にこの照度差を感じ取り、ベッドに置かれると判断。警報を鳴らすのである。眼を閉じているからといって油断は禁物である。

センサをかいくぐる秘訣!

簡単なスイッチの機構ではなく、複数センサの出力結果を統合して判断して、ベッドに寝かされることを回避する統合センシングシステムが備わっていることが分かった。これらの高性能センサをいかにしてかいくぐるかが日々の難題である。検証の結果、センサはとても高性能であり、誤魔化すことはできない。誤魔化すのであれば統合判断システムの方である。「ベッドに寝かせる訳じゃないよ〜」と騙すのである。

まずは、寝室への移動。焦って一気にベッドへ行ってはいけない。何度か寝室とリビングを往復するのである。すると、チラチラ眼を開けていたのが、単純に部屋の明るさが変わっているだけだと勘違いし、次第に反応しなくなってくる。

次に、ベッドに置く時。これも焦ってはいけない。とにかくゆっくりである。絶対に0.2m/s^2を超えてはいけない。ゆーっくりとベッドへ近づけていく。

そして、ベッドに近づいたら、そっと体の背面複数個所をベッドや枕に触れさせる。ここでやりがちなのが、焦ってそのまま置いてしまうことである。繰り返しになるが焦りは絶対に禁物である。ここで手を体の下から引き抜かず、にっこり微笑みかけて少し揺らしてやる。すると、何か背中に当たっているけど、まだ抱っこされていると勘違いする。これでタッチセンサを攻略することができる。

そして荷重センサである。これは慎重かつ大胆にである。少しずつ、腕からベッドへと体を移してやる。その際、しっかりと赤ちゃんの眼を見て笑顔を忘れてはいけない。赤ちゃんは警戒態勢中であることを肝に銘じること。

最後に忘れてはいけないのが、最終確認。本当に寝ているか数十秒から数分ほどその場で待つ。もし、起きそうであれば早急なフォローアップで事なきを得ることもある。二重でフェイルセーフの精神である。

我が家ではこれで大抵の場合寝かしつけることができる。しかし、何より強力なのは、母親のおっぱいである。飲んだらぐっすり。父にはどうしようもなく、何故か羨ましく思うのである。なお、黄昏泣きタイムにはこれら全ての努力が無駄である。寝かしつけることは諦めるしかない。待つこともまた大事なのである。

気になる次期アップデートは?

この高性能センシングシステム、世の電子機器と同様、定期的にアップデートされて様々な機能が付け加えられるのである。生まれてすぐの頃は結構素直に寝てくれていた気がする。それが、日々アップデートされ、機能は多彩に、感度は改善されていく。目覚ましい進歩とイノベーションを続けているのである。果たして次はどのような機能が実装されるのであろうか。そんな日々に戦々恐々としている。